自由ーフリーダムー

オリジナル小説部屋。ときどき二次創作。本とテレビが好き。

小説家を目指すアマチュア作家の修業場所

桐原歌子の日々つれづれ1

2018.10.26.

 

 今日は病院へ行った。

 予約外診察だったので、だいぶ時間には余裕をもって行ったつもりだったが、待ち時間は百二十分を過ぎた。十一時を過ぎたころ、やっと私の番号が電工パネルに表示され、安堵した。じれて受付の看護師に順番を聞いてしまったが、そうする人はわりといたので私だけが気にすることでもないだろう。

 病院は混む。病状が病状だけにあまり公の場に書くことはできないが、自分のからだとは長い付き合いだ。思うとおりに動かない自分の体力は時折もどかしい。今日は午前中が曇りでも外の大気は涼しく気持ちのいい日だった。ほかの患者とは違う場所で待たされる待合室も、そのときたまたま隣に座った四十代半ばほどの女性が感じのいい人だったので、「なかなか呼ばれないですねえ」などと世間話を少々したのも気分を楽にさせた。

 おばさんは赤い差し色の上着を着ていて、上品な感じのする方だった。自分の想像で、二人くらいの子どもがいそうだとか、職場では慕われてそうだとか、いろいろ思考を巡らせてみるのは楽しかった。会話をするうちにまた眠くなり、うつらうつらして、それにも飽きてスマホをいじっていると、「あなた呼ばれたわよ」とまた優しく話しかけてくれた。私の番号が載るころ、おばさんの番号も出た。

 いつもの主治医ではない別の人との診察は、若干緊張しうまくしゃべれなかったが、とりあえず大事な薬は無事にもらった。眠りそうなからだを引きずるように歩き、会計を済ませ、薬局へ行って処方箋をもらった。

 行きつけの薬局には女性ファッション誌の「MORE」が置いてある。暇つぶしに読むのが好きなのでページを繰っていたら好きなタレントが載っていたので購入することを決意。ついでに気になっていた小説も買おうと思い、病院帰りに大型書店へ寄り道する。あそこの本屋は児童書と一般文芸に重きを置いていて、文学者たちがわりかし多く集まっているのでなかなかお気に入りである。

 ちょうどよく滑り込んだ帰りのバスに乗って、目的地で降りる。空気が澄んでいるので映画館にも寄りたかったが、目星の映画がまだ上映されてないので今回はお預けだ。目当ての小説とMOREを買って駅へ急ぐ。幸い、待ち時間を入れずに電車は来た。今日の交通の運はまちまちだ。

 最寄りの駅に降りたとき、空は午後の日差しに替わり、少し色の濃くなった太陽が雲間から顔をのぞかせていた。風が冷たく、空気は秋を深めたようだった。

 土曜、日曜としっかり休んで、また自分なりの一日をがんばろう。無理しないように。私はそう心を決めて、急ぎ過ぎないスピードで帰路を歩いた。

家に帰り、少々高いお金を出して買った厚い小説を読む。久しぶりに重厚な話を読みたくて、紙面の文字を追った。読書をするとき、私の時間がいちばん私らしく輝く。そんな気がする。私は本好きなのだ。私の人生にはいつも読書がある。

 何気ない毎日を送ることが、いちばんの幸せで、私は無いものねだりをして勝手に傷つくことが多かった。「何者にもなれない」という私の自意識は、いつしか年齢の重なりとともに風化して、普通に生きているだけで人は赤の他人に大きな影響を与えられるのだと、人生の節目に気づけたらいい。

 時刻は午後三時半を少し過ぎた。中島美嘉のアルバム「TOUGH」をBGMに、今日はこれだけの文章を書けた自分の体調に感謝して、筆を置こう。

 一日お疲れさま、自分。

 

桐原歌子

オリジナル作品のみの扱いです