花凜文学

アイ アム ザ  ゴーイングマイウェイ

ヲタクにこそ薦めたい直木賞作家、恩田陸。

ヲタクにこそ薦めたい恩田陸ワールド

 

芥川賞直木賞受賞発表からかなり経ちましたが、子どもの頃から大好きな恩田陸先生が受賞ということで、わたくし脳内がいまだスパークしております(´▽`*)←

 

恩田先生はいいっすよ~! ものすごくいいっすよ~!

 

特に女の人がハマりやすいと思います!

独特な雰囲気のある美少年、美少女を書かせたら天下一品だと個人的に思っているので←、何か気だるげな、アンニュイなキャラクターが好きな人、退廃美を好む人などに恩田先生の世界観をぜひ味わってほしいです。

 

昔も今も大好きな恩田陸ワールドの本といえば、これです!!

 

 

麦の海に沈む果実 講談社 恩田陸著 714円(税別)

 

三月以外の転入生は破滅をもたらすといわれる全寮制の学園。二月最後の日に来た理瀬(りせ)の心は揺らめく。閉ざされたコンサート会場や湿原から失踪した生徒たち。生徒たちを集め交霊会を開く校長。図書館から消えたいわくつきの本。理瀬が迷い込んだ「三月の国」の秘密とは? この世の「不思議」でいっぱいの物語。(あらすじ抜粋)

↑ザ・厨二臭。

どこから見ても厨二。右も左も厨二。あふれ出る厨二。

ぜひ厨二病をまっしぐらに進む思春期の子供たちに読んでほしい。少女小説っぽいと言われていますが、桐原は女子向け厨二小説の元祖だと思っています。

 

あとこの作品の最大の特徴は、「完璧にオチてない」ことかと。ちゃんと完結したお話ですが、そのお話はどこまでも深く広がっていて、作者さんの脳を超え、無限に枝分かれしていくようにあちこちの物語世界で派生していきます。恩田先生の著書の中にも、この「理瀬シリーズ」(または「三月シリーズ」)の話の断片が匂わされているものが多くありますね。まるでこのお話はありとあらゆる恩田先生の物語に干渉して伝染していき、いつかすべての著書を先生が書き終えたときには「実は全部合わせて三月シリーズのお話になっています」とか先生ぶっちゃけるんじゃないかと気が気じゃありません。(←気にしすぎ)

でもこんな風に「物語が永遠に閉じない」という小説技法を見たのは自分の年齢では恩田先生が初めてでしたね。とにかく強烈に記憶に残っているのが「麦の海に沈む果実」です。

 

つづいて二冊目の紹介。

 

 

三月は深き紅の淵を 講談社 恩田陸著  667円(税別)

 

鮫島巧一は趣味が読書という理由で、会社の会長の別宅に二泊三日の招待を受けた。彼を待ち受けていた好事家たちから聞かされたのは、その屋敷内にあるはずだが、十年以上探しても見つからない稀覯本(きこうぼん)「三月は深き紅の淵を」の話。たった一人にたった一晩だけ貸すことが許された本をめぐる珠玉のミステリー。(あらすじ抜粋)

 

やたらしゃべる。

 

とにかく登場人物たちがしゃべる、しゃべる(笑)。しかも台詞めっちゃ長い。先生も書いているうちにどこかの世界へ行ったのか、話は文学創作論へ飛び、あたしは昭和30年代以降に生まれた女の書く『ぼくは』で始まる一人称の小説が大っ嫌いなのよ!!と叫ぶ女性キャラ誕生(そして壮大にディスり始める)。

とにかくマシンガントーク。先生も作中でセルフツッコミを入れるくらい(笑)、しゃべる、しゃべる、しゃべる。「喉枯れない? 大丈夫?」って思わず小説に話しかけた、最初の思い出←。

 

物語は四つの話に構成されています。

第一部:著者名が書かれていない、不思議な魅力を放つ小説をめぐる本の話。恩田さんの本(物語)に対する愛着がふんだんに出た恩田節炸裂の物語です。

 

第二部:とある無名の本が、本読みの間で秘密裏に話題となった。上手いわけではなく、完成度も高くない作品だったが、なぜかもう一度読みたくなる。そんな魔力を持つ小説の筆者を突き止めるため、二人の文芸編集者は夜行列車で筆者の故郷と思わしき場所へ出発するが・・・?

作中にて筆者の推理が行われます。これも作家さんが三人出てきて、またその描写が見事です。作風や本人の性格も完璧に語られているので「こんな小説を書いている人なのかな?」と想像しやすく、読んでいて楽しい。推理ゲームみたいでおもしろいですよ!

 

第三部:いちばん悲しい話かな(泣)。ネタバレにならないように感想を書くのが難しいので、さらっといきます←。

いちばんミステリーとして単純におもしろいです。女の子同士の濃密な仲というのは、このくらいの年齢だからこそ甘く、残酷に展開されていくのだなと思いました。

 

第四部:今まさに小説を書こうとしている作家の頭の中の話。物語という世界へトリップした作家の創作課程をそのまま文章に写しとった物語。そのため、かなり読みづらいです(汗)。あまり真剣に文字を追わないで、「ふーん、作家の頭の中ってすげえ世界だなあ」くらいの気持ちで読んだ方がいいかも。距離を取って読みましょう。じゃないと「うおおぉぉ・・・!!」となります。

また、この章でちらりと「麦の海に沈む果実」の初期設定上のシーンが書かれてあります(#^.^#)。

 

以上の四つの話に共通してあるのは「三月は深き紅の淵を」という本についての物語です。

第一章はその本はすでにどこかにあるらしく、魅力的に語られています。

第二章はその本は実在していて、著者のことまで濃密に語られます。

第三章は、その本はまだ世に出ていなく、主人公が「いつか書く」と決意する形で閉じます。

第四章は今まさにその小説を書こうとする作者の主観的な世界で、小説の進み具合が語られます。

 

いずれも主人公は全部違います。語られる本も章によって少しずつ特徴が違い、それによって多様な魅力にあふれています。

なかなかに癖の強い小説ですが、その癖にハマると「恩田陸」という名の沼に落ちます(笑)。

ちなみに当時中学一年生で読んだ私は数ページ開いてすぐに寝落ちしました)^o^(。なんかね、子守歌みたいに眠くなるんですよ(笑)。成長途中で眠い時期だったしね(違)。で、その子守歌でさんざん寝て、だんだん歌に慣れてきて、気づいたら全部読破できてました(゜o゜)。十回以上の挑戦で本書の魅力をわかったときは嬉しかったなあ。同じ本を何度もくりかえし読むのは十代の頃がいちばん得意だったと思う。十代の集中力ってすげーな。

 

ということで、退廃美の美学を持っている人、厨二作品が大好きな人はぜひ一度お試しくださいませ~。

 

桐原歌子。